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ふるいものとあたらしいもの

小学校からおとなになるまで、住んでいたのは
なにもかもが真新しい郊外の住宅地だった
白い壁、真っ直ぐな道路、ピカピカのスーパー
それ以外に何もない
それが当たり前だったから

東京で暮らすようになってから
ふるい、ふるいものが、さらっぴんの新しいものと
混在していることがおかしくて、悲しくて
時にうとましかったりもした

新しい町だった郊外の住宅地は
古くなり、草も木も伸びた
真新しい公園ではしゃいでいた子どもはもういない
モデルタウンと呼ばれた私の町は
いまや高齢化と、人口減少と、ロストジェネレーションのモデルタウン

最先端の都会のなかで頑強な古さを守ることと
時間とともにあっという間に寂しくなった郊外と
そのどちらもが私の町となった今
私は、いつも
どこでもない場所に帰ろうとしている

ふるくてきたないものが
あたらしくてきれいなものに
変わることの
悲しさ、おかしさ、くやしさを
抱きしめては、力を抜いて





ふるいものとあたらしいもの_e0159875_10370320.jpg

by umebayashi-gyoza | 2019-03-02 10:41 | 弥生-出会いの道、決別の朝

過ぎてゆく日々に。通りすがりに、一言。


by umeko