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ふるいものとあたらしいもの

小学校からおとなになるまで、住んでいたのは
なにもかもが真新しい郊外の住宅地だった
白い壁、真っ直ぐな道路、ピカピカのスーパー
それ以外に何もない
それが当たり前だったから

東京で暮らすようになってから
ふるい、ふるいものが、さらっぴんの新しいものと
混在していることがおかしくて、悲しくて
時にうとましかったりもした

新しい町だった郊外の住宅地は
古くなり、草も木も伸びた
真新しい公園ではしゃいでいた子どもはもういない
モデルタウンと呼ばれた私の町は
いまや高齢化と、人口減少と、少子高齢化のモデルタウン

最先端の都会のなかで頑強な古さを守ることと
時間とともにあっという間に寂しくなった郊外と
そのどちらもが私の町となった今
私は、いつも
どこでもない場所に帰ろうとしている

ふるくてきたないものが
あたらしくてきれいなものに
変わることの
悲しさ、おかしさ、くやしさを
抱きしめては、力を抜いて





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# by umebayashi-gyoza | 2019-03-02 10:41 | 弥生-出会いの道、決別の朝

6文字の冬


今朝、新聞で見た
「帰還困難区域」という文字

関係ない人だというのに
ふと、ふうっと、ため息が伝いました

だれかの家に残された
食器や、棚や、ドアの傷
スーパーのビニール袋や、プラスチックの容器たち
かつての、だれかの、生活の音が
私の記憶と重なって

そうじゃない、私は帰れていないわけじゃない
ちゃんと
片付けもした、あの日からの全てを
紙切れ1枚、ええ
でも、ちゃんと出した
印鑑もついた
決め事も、もめごとも、終わった
後悔や未練なら、何とか自分で、やるだろう

今ひとたび思うのは
あの日の午後の、柔らかい日差し
わたしが「日常」と呼んでいた
あの場所、あの匂い、あの木立の傾き
勝手な場所におかれたリモコンや
小さなお気に入りのスペースの珈琲の香り
わたしが「好き」と集めた物たち、影たち、光たち

まだ言っているの?そんなこと
まさか帰りたいんじゃないでしょう?
そうじゃない わたしが日常と呼んでいた
あの場所は
たしかに不安や、恐怖や、劣等感のある場所だった
それでも、確かに、わたしの場所はあった
どんなに小さく、些細なものでも
だからこそ
大切にしていた

わたしだけの、ものがたり
「帰還困難区域」

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# by umebayashi-gyoza | 2019-01-19 14:29 |

陰と光


いじわるや、わるぐちを
どうしてひとは、とめられないのでしょうか
くるしみや、ふしあわせから
のがれたいと
さいがいや、えきびょうから
みをまもりたいと
なんぜんねんも、いのりつづけているのです
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# by umebayashi-gyoza | 2018-08-25 08:32 | 8月-太陽の季節-

なつが見えるよ


列車の窓から
束の間の夏

広がれ
翻れ
自分勝手に、わがままに

終わるころには
寂しさで
憂いを帯びる

ずっと続いてほしい

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# by umebayashi-gyoza | 2018-08-25 08:28 | 8月-太陽の季節-

きいろ・風・光



「私にとって、年齢は問題じゃないわ
年齢が私を問題にするの」
舞台『カレンダーガールズ』のセリフの一節
くちぶえみたいに、何度もつぶやきながら
私だけの近道を歩く
買い物帰りにここを通ることは
誰にも、教えていない

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# by umebayashi-gyoza | 2018-03-30 00:36 | 弥生-出会いの道、決別の朝

過ぎてゆく日々に。通りすがりに、一言。


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